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摺り取りでエッチングの準備が終わる場合が殆どではあるが、今回の特注柄はベースに格子柄などの単調な柄を置き、その上に大柄の絵柄、例えばトンボやひょうたんなどの縁起物の柄を重ねて絵付けするため2工程の作業が必要になる。

他に無いオリジナルな製品を作るためにはこのような絵付けがポイントになるわけである。

絵付け作業は重ねて表現したい絵柄の型紙を、摺り取り作業が終わった板面に重ね、パウダーで輪郭を写し取る。

ここから職人の長年の経験と感、そして天候に左右される行程。

摺り取り及び絵付け作業が終わった真鍮板の模様の部分を溶剤で腐蝕させていく作業に入る。

溶剤は「硝酸」と「塩化第二鉄液」の2種類を使用する。 硝酸はニスを溶かし、鉄液は真鍮板を溶かす。

大きめの器に入れた溶剤の中に真鍮板をどっぷり浸ける、数分間浸してから取り出し腐蝕状況をチェックする。

斑がある場合は水洗いをした後、硝酸液に浸して刷毛で斑が無いように調整し、これを数回繰り返し均等に抜けるようにする。

その間腐蝕し過ぎないように付ききりで見守りエッチング作業が完成する。

この作業は夏場の晴れた暑い日でなければできない作業。溶液の温度が高くないと腐蝕の進みが遅くなるからだ。天候と睨めっこの大変な作業である。

 最初の作業は商品コンセプトに合った型紙を選ぶことから始まる。籠の完成度の高さを大きく左右する型紙選び。伊勢型紙の中からイメージに合った型紙を選ぶ職人のなまなざしは真剣そのものである。籠にのせる絵付の柄を引き立たせる為には抜けの良い型紙を選ぶことが重要だからだ。

真鍮板を溶剤から保護し模様以外の部分が溶けてしまわないように保護するための皮膜を掛ける作業である。

この作業は模様の摺り取り作業の出来に関わるため、板面全体に均一に斑無く塗らなければならない。

次に始まる作業が摺り取りの作業。正確に言うと真鍮板に塗ったニスを模様に合わせて専用ブラシで摺り取る作業である。

この作業が最終的な出来映えに関わる最も大切でデリケートな作業だ。ニスが均等に摺り取られていないとエッチング作業の段階で腐蝕にムラができてしまうからだ。盤面に型紙を置き丁寧に摺り取っていく、これを4送りする。型紙が真鍮板より小さいため正確に合わせながら4回繰り返すわけである。

ポイントは半日遅くても1日の内に終えなければいけない。なぜならば型紙は和紙のため湿気や気温によって伸びてしまうからだ。

エッチングの作業が終わり表面に付いていたニスを拭き取り、奇麗になった真鍮板を円筒状に加工する。サイズを確認の上、必要なサイズにカットしていく。柄の始まりと終わりをズレの無いようにつなぎ合わせる。集中力と技術を必要とする工程だ。

カットした真鍮板を円筒状に繋ぐ側のエッジを細かなヤスリを使用して斜めに面を付けていく作業。柄と柄を段差無く慎重に繋ぐ

0.2~0.3mmの極めて薄い板のためこれも大変な作業。

熟練された伝統工芸士の技を感じる。

 互いにテーパー加工を施した真鍮板を筒状にして溶接していく。

この作業もデリケートな作業で一歩間違うと柄のつなぎ目がズレてしまうからだ。

慎重で繊細な仕事が続く。ここまで出来るとほぼ完成形に近づく。

*画像中央をクリックすると拡大表示ができます。

KAGOZOME LANTERN

真鍮板のニス塗り作業

伊勢型紙

擦り取り作業

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*左右の矢印をクリックすると関連画像をチェックできます。

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